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平成28年の演目

式三番叟

(しきさんばんそう)

 式三番は能・狂言と並んで能楽を構成する芸能の一つで、能が成立する以前からあった翁猿楽(おきなさるがく)の様式を留める芸能である。一般には「式三番」より「翁」と呼ぱれるほうが多い。
 翁(おきな)、千歳(せんざい)、三番叟による祝福舞で、翁、千歳が舞った後、激しいお囃子(はやし)と共に三番叟が走り出て、天下秦平、国家安穏、五穀豊穣を寿(ことほ)ぐ舞を舞う。
 翁は部落の長、千歳は若者、三番叟は農民の象徴と言われている。
 歌舞伎では能の莊重さよりも、三番叟の滑稽さや動きの面白さが喜ばれ、三番叟中心の作品が多く作られた。特に歌舞伎などの芝居の前に烏帽子をかぶり、扇と鈴を持った三番叟が祝儀としてめでたい舞を舞う寿三番が普及した。

絵本太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場

(えほんたいこうきじゅうだんめ あまがさき かんきょのば)

 主君小田春永を討った武智十兵衛光秀の母皐月は、吾が子の不義を諫めて容れなかった。尼ケ崎の侘住まいに隠居して老いの一徹を立て通しているところへ、光秀の一子十次郎が出陣の許しを得るために訪れ、祈柄母操に連れられて見舞いに来ていた許嫁の初菊と、今生の名残に、祝言の盃をする。
 そして今も聞こえる攻太鼓に十次郎は戦場へと馳せ参じて行く。最前この家に宿をとった旅僧が、この様子を伺い見るが、何気なく風呂の沸いたのを知らせ、先に湯殿に入る。この後抜き足で忍び寄る武士こそは明智光秀。あの旅僧こそ正しく敵将真柴久吉と「心は矢竹藪垣の見越しの竹をひっそぎ槍・・・・一と間に聞こえる物音にここぞと突っ込む槍先に、わっと叫んだのは、真柴にあらず老母皐月であった。皐月は苦しい目を開き、反逆人の光秀を罵り、その天罰が親に報いて最後に善心に立ち返ってくださいと頼むが、光秀は素志をひるがえそうとはしない。折しも刀を杖に手負いの十次郎がよろめきながら立ち帰り、加藤清正に追い立てられて負け戦と味方の敗北を告げる。そういう中にも早や死期の迫った老母と十次郎、初菊も操も身もだえして悲しむ。さすがの光秀もこらえ耐えかねて、はらはらと落涙するのであった。真柴久吉は、旅僧とはうって変わった武将姿で加藤清正と共に立ち現われ、今ここで討ちと取っては義あって勇を失う通理、時を移さず山崎天王山で勝負を決せん。まずそれまでは・・・と互いに睨み合いつつわかれるのであった。

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出演者

式三番叟
山口 禎葉(さちは) 7才 2年生 山口 勝 (次女)
絵本太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場
武智十兵衛 光秀 新川 海隆(うりゅう) 10才 5年生 新川隆司 (長男)
妻 操 若原 由侑(ゆう) 9才 4年生 若原 達朗 (長女)
母 皐月 野口 心花(みはな) 9才 3年生 野口 傑弘 (長女)
武智十次郎 光義 山口 瑞(みずは) 12才 6年生 山口 勝 (長女)
十次郎許嫁 初菊 石原 美優(みゆ) 8才 2年生 石原 康成 (長女)
真柴筑前守 久吉 森岡 拓巳(たくみ) 8才 3年生 森岡 誠 (長男)
加藤虎之助 正清 伊東 陽翔(はると) 7才 2年生 伊東 洋孝 (長男)
久吉 家来 山口 禎葉(さちは) 7才 2年生 山口 勝 (次女)

※出演者一覧が見切れている場合は、横にスライドすると続きをご覧いただけます。

当番町:下町
軕:鳳凰軕

これまでの演目